溶融亜鉛めっきの腐食速度は使用環境条件によって異なり、同一使用環境における耐用年数は亜鉛付着量に比例します。
大気中の耐用年数を予測する場合、使用環境によるめっきの腐食速度と亜鉛付着量から次式のように計算できます。
耐用年数=亜鉛付着量(g/㎡)/ 腐食速度(g/㎡・年)× 0.9
日本における使用環境別の溶融亜鉛めっきの腐食速度についての各種試験報告をまとめると下表のようになります。
下表は亜鉛付着量550g/㎡の場合に、めっき皮膜の90%が消耗するまでの期間を計算したものです。
橋梁などの大型構造物は、素材の厚みが9~30㎜と厚く亜鉛付着量も800~2000g/㎡程度と考えられ、その耐用年数は半永久的な物となります。また屋内では、同じ地域の屋外に比べると5倍以上の耐用年数が期待できます。
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使用環境別亜鉛腐食速度(JIS H 8641 溶融亜鉛めっきより) | ||
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暴露試験地域 | 平均腐食速度(g/㎡・年) | 耐用年数(年) |
都市工業地帯 | 8.0 | 62 |
田園地帯 | 4.4 | 113 |
海岸地帯 | 19.6 | 25 |
溶融亜鉛めっきは、水中でもめっき表面に保護皮膜が形成され、すぐれた耐食性を示します。
水中の耐食性はpHと温度が主な影響を与えます。下図に示すように、亜鉛めっきが有効な耐食性を示すのは、pH6~12であります。水温は50℃以下であります。50℃を越えると腐食速度はかなり増大する傾向にあります。
含有塩類も多少の影響があります。軟水中よりもカルシウム塩類を含有する硬水中の方が耐食性は良好です。その他水中に溶存しているO2およびCO2の影響などもあります。
海水中への浸せき試験では下表に示すように浸せき期間が長くなるにつれて腐食速度は小さくなります。これは海水中のマグネシウム塩、カルシウム塩が保護作用をするからです。ただし、海塩粒子が激しく飛来する過酷な塩害地帯やスプラッシュゾーン(干満帯)では腐食速度が増大する傾向になります。一方でイケス(活簀)用として採用されるケースもあります。
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海水中の耐食性(ASTMによる試験結果) | |||
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付着量(g/㎡) | 浸せき期間(年) | 腐食速度 | |
㎜/年 | g/㎡・年 | ||
1,129 | 0.5 | 0.048 | 345 |
1,159 | 1 | 0.023 | 162 |
1,312 | 3.5 | 0.015 | 107 |
1,373 | 5 | 0.013 | 92 |
注)表中の数値は、305g/㎡=1oz/ft2 1㎜/年=39.37mpyとして換算した値であります。
土壌中で腐食速度を支配する主な要因は、通気性、含水量、溶存物質の種類と量、電気伝導度、pH、電食(迷走電流)などです。土壌中の腐食速度は土壌の性質により広い範囲でバラツキますが、一例として下表のようなものがあります。
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米国の各種土壌中の高純亜鉛の腐食(12.7年埋設試験による腐食速度) | ||
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土壌の種類 | g/㎡・年 | |
無機質酸化性酸性土壌 | 粘土ローム | 52 |
ローム | 29 | |
粘 土 | 39 | |
無機質酸化性アルカリ性土壌 | 沈泥ローム | 43 |
砂利質ローム | 130 | |
無機質還元性酸性土壌 | 粘 土 | 46 |
無機質還元性アルカリ土壌 | 粘 土 | 46 |
粘 土 | 210 | |
有機質還元性酸性土壌 | 堆 肥 | 110 |
沼 地 | 96 | |
堆 肥 | 180 |
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