溶融亜鉛めっきは大気中、水中、及び土壌中で耐食性がすぐれているということから、鉄鋼の防食手段として広く 利用されています。
溶融亜鉛めっきがすぐれた耐食性を示すのは、主に次の二つの大きな特長があるからです。
亜鉛めっき表面に緻密なさびの薄膜が形成され、この緻密なさびの薄膜が、強力な保護皮膜となって、その後の腐食の進行を防ぎます。
この現象を鉄素地の場合と比較すると下表のようになります。
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亜鉛の場合 | 鉄の場合 | |
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素 地 | ||
さびが生成 | 緻密なさびの薄膜が生成 | 粗な鉄さびが生成 |
さびが進行 | 緻密なさびの薄膜が強力な保護皮膜となりさびの進行を抑制します | 鉄さびは多孔質で保護能力が少ないためさびがどんどん進行します |
一般に腐食速度は使用環境、使用期間によって異なりますが、亜鉛は鉄の10~25倍の耐食性をもっています。
たとえば、条件の厳しい海岸地帯での亜鉛と鉄の腐食速度を比較すると左図のようになります。
亜鉛めっき皮膜になんらかの理由でキズが生じた場合、周囲の亜鉛が陽イオンとなって電気化学的に保護する犠牲的防食作用により、鉄の腐食を抑制します。この鉄に対する犠牲的防食作用は、亜鉛特有の物であります。
この現象を塗装で赤さびが発生する場合と比較すると下の図3のようになります。
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溶融亜鉛めっき | 塗 装 | |
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素 地 | ||
傷が生じた状態 | ||
腐食状態 | 亜鉛の犠牲防食作用により鉄は腐食されません。 | 粗い鉄さびにより塗膜が大きく破れ更に腐食が進行します。 |
図3.傷が生じた場合の亜鉛めっき皮膜と塗装皮膜の腐食状態
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